JALがなくなる日 友情が戻る日
コロナの影響で
日本航空の経営が
厳しいというニュースを
目にする機会が増えた
従業員の方
関連会社の方
そのご家族の方
大変な思いをされていると思う
私も派遣打ち止め
来月から
アルバイトだ
給料が何万も下がる
求人数も少ない
お正月にむけて
さらに少ないという話だ
日本航空の
経営が悪化し
ただ一人の人物だけ
リストラされてしまえばいいと
思っている
私の高校時代の
親友の旦那だ
私たちは
女子高生という大切な時を
まわりの輝いた
青春群像劇の中
サブカルチャーに寄り
吉田戦車の本などを
貸し借りし
電気グルーヴを崇拝し
流行りものに興味がなかった
そんなんで孤立した私たちは
趣味がすごく合った
当然彼氏もおらず
先生を猿呼ばわりして
一緒に追試をして
ひたすら
放課後や休みは
バイト代をくだらない本や漫画
インディーズバンドのライブに費やしていた
高校を卒業すると
彼女は家庭の事情で
必死に看護師として働き
私はフリーターで
高校生気分も抜けやらぬ
色恋沙汰に夢中だった
アリとキリギリスという童話を
実写化させたのは
私たちで
高校卒業して10年ほどたった時
彼女はJALで働くご主人と
一等地の分譲高層マンション20階に住み
私は派遣社員として
仕事を年がら年中ズル休みしながら
近所の大学の学生さんが多い
相場低めの学生マンションに住んでいる
それはそれは
話は毎年かみ合わなくなっていた
昔の楽しい思い出があったから
二人とも
離れられなくて
同じ思い出を持っていたから
でももう
二人は
全然変わってしまって
話なんか全然合わなくて
彼女が
調子を合わせて
ブランド物のバックを
わざと粗末に扱うように見せたり
行きたい店なんて
合うはずもなく
私がスイカのチャージを
2000円しかしなかったことに
思わず
安っっ!
と彼女が言ったのを皮切りに
会わなくなった
年賀状だけ交わす
LINEも知らない
日本航空の
ニュース
見るたびに嬉しくなる
あの人が
リストラされて
マンションのローンが
払えなくなって
年賀状の住所が
地方になって
私はまた
彼女と
伝染るんですを読みながら
朝までお菓子を食べて
笑いあえるから